2021/10/19
木と対話しながら掻く漆 ー漆掻き職人のお話を聞いてー
漆掻き職人の長島さんに漆掻きのお話を聞く機会をいただきました。
漆掻きのお話を伺うと、木の観察、天候の長期的な観察、自然を相手にする仕事として様々な観点を予想以上に考慮する仕事でした。
漆は6月中旬~11月上旬に掻くことができ、この期間で200本に手を入れているそう。
それぞれ1本1本に木の性質がある様で、木の皮を平にならしながら、どういう性質の木だったか、まずは手をかけながら思い出します。
いきなり大きく傷をつけるのではなく、木にびっくりさせないように、これから傷を入れますよと少しずつ傷を入れていきます。
採れる漆は、
6月~7月は水分量高め、
8月~9月上旬は質・量ともに最高な時期で、上塗りに使うような良質なものが採れ、
9月中旬~11月上旬には水分量が少ない漆が採れるそうで、
その後に木は伐採されます。
寒い時は浅く短く、天気に応じて傷の深さを変えるという、深く入れすぎても木に無理をさせるし、浅く入れすぎても樹液が出てこない。
師匠の掻き方を見つつ、木に傷を入れるカンナの入れ方をどう入れたら負担をかけず長く多く出してくれるか、色々と研究したということでした。